即売会に向けて3本書いて分かったこと

C90は本当に悪戦苦闘でした。ほんとにもう、ダメだと何度も思いました。けど、その苦戦はよく考えたら毎回感じてることじゃないかということで、自分用に読み返すためのメモとして残しておきます。なので、以下は全て自分の場合なので、他の方には合わないこともあると思う、というより、合わないことが多いと思います。すべてを鵜呑みにはしちゃダメよ。あくまで参考として、ね。

また、今回艦これの同人誌にて問題となっていたのはこれら。
・提督、メインであるはずの由良が書けない(主人公の像が出来上がらない)
・終わり(エピローグ)だけ浮かんでいて、導入から完結まで全く決まらない
・1時間のうちで書けない時間がある
・環境面(食事問題、腱鞘炎)

○自分に残っていないものは書けない




このように本に付箋とかメモとして残していたんですけども、結局使いませんでした。

そもそも読み直さないと思い出せない要素は書けなかったり。寧ろ、書き終わった後に

「ああっ! いつの間にかこれ、自分の好きな作品のあの要素じゃん!」

とか、そういう要素が大切なんだと感じました。その方が自然とピースが合うんですよ。物語と一緒に。


○終着地

純文学寄りのものを書いたときには(寧ろ、自分の文章ってどちらかと言えば純文学寄り)それほど問題にならなかった。けど、エンターテイメント性を重視した作品になると、やっぱり終着地っていうのがないと書けない。というより、書けなくて本当に困りました。

車を主題として例えるとーー

何となく車で近くのコンビニに来てみたら、思いのほかコンビニのドリップコーヒーが美味しくて、他のコンビニのコーヒーと飲み比べをしたくなってしまったから車で移動していくーーというのが純文学かも。

ようは何かしら可能性を残していって、その選択肢を選ぶ楽しさがあるんです。そして何より、終着地がない。(保坂和志先生は、純文学は自分のタイミングで、いつでも作品を終えても良いと述べていたと思う)



じゃあエンターテイメント作品は? というと、サーキットで走る感じかなぁ。

だけど、ここでいうのはそこで走るのが大切なのではなくて、何を魅せるのかということ。タイムで競うという美点なのか、最高速度を求めるのか、それともコーナーのドリフトを美しく決めるのか、それとも全部なのかーーという具合に、その中でもここは魅せる、ここはスピードを出して展開を巻くとかを考える。与えられたものの中で、自分の好きな要素、ルールを決めていく楽しさ。それがエンターテイメント作品だと思う。

ただ、その終着地っていうのは面白いことに変わることがある。与えられた道の中、ゴールが必ずあるという点が大切なので、別にサーキットではなくて峠とかでも構わない。寧ろ雨天のためとかそういう別の理由で、本来とは別のコースになることもある。なので、そういった問題にぶち当たって、どう対処していくかということも度々起こったりする。書いてるこちらもびっくりです。それにその変わってしまった部分をそのまま受け入れるのも、寧ろその悪天候の中を突っ走ることにしても、いいと思うんですよ。


ここまで書いといてなんですけども、自分は純文学寄りの方が書いてて楽しいです。けど、作り方はエンターテイメント作品なんだよなぁ。むむむ。

ということで、今回はエンターテイメント作品なので、終着地を決めてからが作業が捗るようになりました。


○与えられた時間の中、書き上げる大切さ

時間が制限されている中、特に締切が迫った際の集中力はすごいもので、今まで以上にない捗りを見せるけど、それに頼りきりなのも問題だし、常に綱渡りをしているのは精神上よろしくないです。

じゃあどうやって書き続けようか? という点で書き連ねます。



1時間で"何文字書けたらいいのか"というよりも、"何文字書いたか"の方が大切でした。ちなみに自分は、以前なら1時間に3000文字は書いていましたが、今ではその半分ぐらい。調子が良いと2500文字、悪いと800文字すらいかない、といった具合。

で、その一時間のうちにかけた文字数をどこかに毎回メモをとる。ようは可視化しておく。すると

「ここは考えながら書いてるのでペースが落ちてるのは仕方が無い」

「体力がなくなってきたからそろそろ今日は終わりにしよう」

などといったことが見えてくる。ようは自分の調子を図るための材料にする。特に、書けない時は色々原因があります。頭が疲れているなら寝る、シーンがまとまらないのなら一旦落ち着いて把握に専念するなど、考える必要がありますから。



1時間を計測するのに、自分はiTunesで作業用BGMとして、大体50分ほどのプレイリストを作り、作業開始時に再生させて、曲が終わったと同時にそれらをメモしてから休憩していました。

あからさまなトラックなので、これからは別のプレイリストも作りたいものの、これらの曲じゃないと集中して書けないことに気付きました。ぐもぉ。


○腱鞘炎との戦い

今回執筆期間は実質1週間ほどで約9万文字でした。しかし一日1万文字を書いたところで大抵右手の中指、薬指が動かなくなります。腱鞘炎の前兆です。原稿が終わってみれば完全な腱鞘炎になったため、キーボードが打てなくなりました。

これが普通のキーボードならもっと大変だったのでしょうけども、HHKB(Happy Hacking KeyBoard)であったこと、それとATOKのタイプコレクトという入力ミスを訂正してくれる機能のおかげで乗り切れた部分が大きいです。本当に、今回はATOKには助けられました。

それと、ローマ字入力なら左手小指も注意です。まずは右手よりもそこがやられました。ようは母音となるaを打つ指なので、打つ回数の多さ、あまり鍛えられていない小指ということが重なった結果なのでしょうね。

パームレストも大切です。僕は高めが好きで、それ故に、打ち込む際は指を上げる動作をほとんどしていないと思います。また、それが固めではすぐに手を傷めてしまったので、タオルを巻くなどをした方が良い様子。それだけで左手に関する問題はクリアしましたが、今後は違うパームレストを使うかもしれません。

もし高級キーボードに手を出すのであれば、HHKBよりも、同じ静電容量無接点方式のREALFORCEをおすすめします。自分は只単にJISキーボードよりもUSキーボード、持ち運びをする、机を省スペースにしたかったためなので、その点を重視するならHHKBになった、というだけです。



○食事は大切

原稿を書き始める2週間ほど前からだったと思いますが、諸事情により米を食べられない環境にありました。パンもありません。なので原稿を書き終えるまでの約3週間、炭水化物を殆ど摂取していませんでした。何を食べていたかと言えば、森永ラムネかカロリーメイトぐらい。

その間、多くの知り合いに心配をかけてしまったようで、何かと差し入れを貰う始末。ありがとうございます。そしてごめんなさい。

なにより、顔に疲れとか出ているとのことでした。危ないのは、自分自身その自覚がなかったことです。原稿を書き始めてから4日目ほどで、歩くのにもふらつく、力が出せない、ずっと座っての作業なので脚がひとまわり細くなった(自覚するぐらい、筋肉の衰えを感じた)という感じ。

本当はそれを管理してくれる恋人や妻がいてくれるのが一番いいと思うけどなぁ。だから、居る人はその時ばかりは甘えた方が良いと思います。居ない人は作った方がいいと思うぐらいです、本当に。僕は色々あって作れません。

ジブリスタジオでは徹夜と飯はキチンと食べなきゃダメという話だけど、正しくその通りだと思う。自分の場合は環境が悪すぎただけなんですけども。けど逆に言えば、それでも書けたのだから、その気になれば書ける、ということは分かりました。

ーー余談ですけども、原稿が明けてから食べた精米した新米は、涙が出るほど美味しかったです。


取りあえず、今回はこんな感じで。本当なら毎日コツコツ、ちまちまと書いていくのが良いと思いますけど、なかなか出来ませんでした。次はもっと良いものを書けるようにしたいですね。