Pomera DM200を1年間使ったのと、同人小説をそれで書いたので感想とか



実はポメラ、買っていたんですよ。「もー! 怒ったからポメラ買っちゃうもん!」とか言いながら、発散する意味合いでも買ったのです。

それで、ポメラを使い続けて1年ほど経過したのでその感想と、同人小説(こちらの長編小説)をポメラのみで執筆したので、実践で使ってみて、そこで発見したこととか書いておきます。参考になれば幸いです。

○ユーザーは何に使うのか明確化しておくべき

そもそもポメラを欲しい方は文字入力する機会をもち、ある程度それに特化したものが欲しいと考えていると思われます。問題はその用途が執筆なのか、ブログなのか、はたまたプログラミングなのかということです。

ぼくは始めのうちはブログなど文章なら何でもーーと意気込んでいましたが、今では小説のみとなりました。

そもそもの話、同期問題による面倒臭さにより、ブログの記事を作るのはiOS、Macでのメモアプリが便利だと感じたからです。メモアプリなら画像もそのまま貼って同期ができるので、下書き兼本書きとする自分にはその方がやっぱり楽だったんです。リンクとか貼るのにも結局はPC作業の方が楽ですから。

結局のところポメラは小説、もしくは日記といった「とにかく文章を書く」ということに集中した作業を担わせるのが一番かなと思います。

○使い続けて浮かび上がる問題点

メリットよりもデメリットがとにかく目立ちました。

1.処理問題によるキーの誤動作が気になる

僕自身の使い方にも問題あるように思えますが、DTMからの癖でCtrl+Sによるデータ保存を頻繁に行ってしまい、処理仕切れずにCtrlが押しっぱなしになった状態で別のキーに触り、他のショートカットを起動させてしまうことが多々あります。

この動作は癖を矯正してなんとか抑えることは出来ましたが、それでも自分の中では少しストレスになります。保存しないと落ち着かない人なので、こればかりは致し方ない部分でもありますが……。

2.処理問題として文字数が増えた時の挙動

上記のことを踏まえつつ、3万文字を超えたあたりで保存速度が遅くなり、1のことが度々起こるようになりました。

自分は小説を書くときには1万文字程度の短編を書き連ね、それを1本の連作として長編小説として仕立てる人で、結構ファイルは小分けになります。


ただ今回の同人小説に関して言えば、4話構成で従来の量(大体今作は1話分1万〜3万文字とばらけました。しかし3万文字のファイルは明らかに保存速度が遅くなりました)を書いたため、この症状が見受けられました。

3.キーボードの精密さと、悪い意味でのチープ感

やはり普段から静電容量無接点方式のキーボード(HHKBなど)を使っていたため、今までの速さで打ち込むと、誤字脱字が目立つようになりました。

少し小さめのキーボード故の慣れ具合でどうにかなるかとも思ったのですが、結局書き上げるまでに誤入力はあまり減らなかったように思います。もっとガシガシ打ち込みたい、という方にとってもこの点はマイナスになってしまいそうです。

4.ファイルやり取りの不自由さ

DM10の時はSDカードを抜いてそのままPCに差込み、Dropboxと同期させることが出来たものの、DM200ではいちいちPCとのUSB接続モードを起動しなければならなくなりました。SDカードにたとえ保存していても、ポメラの接続モードからでなければファイルが見えません。
(すみませんこれ、自分のSDカードが壊れている故のものでした。新しいSDカードに切り替えた後SDカード単体でPCに認識させたところ、普通にファイルを覗くことが出来ました。大変なデマを拡散させてしまってすみませんでした)

自分はポメラそのものがテキストファイル保存庫として使うことにしたので、時折USB接続して同期する形にしています。常に同期されてなければ落ち着かないという方もおられると思いますが、ポメラsyncによる同期でもやはり時間がある程度掛かるので、少しの手間は避けられないのが現状です。

5.ポメラsyncにおける接続の遅さ、同期具合

正直ここは僕の力不足もあるのですが……自分は使うのを諦めました。Androidだともう少し上手く同期できるのだと思うのですが、iOSのメモアプリではポメラからiOSへの一方通行にしかならず、携帯機器での閲覧、確認という用途にしか使えませんでした。

しかし、です。このポメラsync、そもそもWi-Fiとの接続がとてつもなく遅いのです。締切に追われて原稿を書いてるときにそんなものを使うかといわれたら、僕はハッキリと"No"と答えざるを得ないです。ほんとにそれぐらい遅い。

それなら自分でUSBで接続した方が早いですし、最終段階としてExcelのWordで印刷データを作るので、PCと接続することが前提となります。それならば申し訳ないのですが、正直この仕様は要らないと思うのが僕の意見です。

使うのであれば、そんなものに追われることのない方が考慮すべきです。

○実践で使ってみて締切前に感じた大きなメリット







原稿中、挙げ句にはこんなことをTwitterで言っていましたが、後に「あれ、そんなこともないかも。寧ろ使った方がいい?」と自分の中で変わりました。

というのも、それ以上の大きなメリットが、自分の中にあったからです。

1.今までのような腱鞘炎にならずに済んだ

一番の理由はこれです。キーストロークの短さ、キーボードの大きさによりあまり指を広げずに打ち込めるため、指への負担はだいぶ少なかったみたいです。

ただ原稿が終わってからPCのキーボードへ移行した折、指をホームポジションにおいた瞬間激痛が走りました。もっと詳しく書くと"ばね指ではないですが、手をパーにして指を広げると痛む"のです。

実際一日に1万文字以上(最終日は寝ずに3万文字をぶっ通しで打ち込んでました)打ち込んでいたので、それだけ負荷はあったはずです。それでもその程度に済んだのは、ポメラのおかげと言っても過言ではないです。

静電容量無接点方式による打ち込みやすさも大事ですが、指への負担を考慮すると、僕はポメラをとりそうです。

2.目にやさしいので目薬要らずだった

いつもPCモニタとにらめっこしていたので、目が非常に疲れる日々でした。画面出力で明るさをかなり下げているものの、それでもモニタからの光やブルーライトによって目は疲れてしまいます。なので、原稿中の目薬はほんとに必需品でした。

その点、ポメラで黒背景に白文字にしてみれば、全然そんなこともなく作業が続けられました。1で書いた3万文字が出来たのも、その点がかなり大きいです。

「じゃあ同じ条件でPCに適用すればいいんじゃない?」と言われればそうでもなく、寧ろそれと同じ成果は出なかったと思います。その理由が次の3つ目です。

3.どこにでも持ち運べる故に出来たこと

作業中、辛いのは肩こりもそうですが、僕が一番辛いのは膝です。高校時代に競技カルタで膝を痛めて以来、とにかく動かさないとすぐに痛みます。執筆作業はとにかく膝の痛みとの戦いでもありました。

そう、PCで作業するというのは座りっぱなしになる、ということなんです。今ではApple Watchが気を利かせて「そろそろ立とうよ」と通知をしてくれるからいいものの、そうでなくとも原稿中は常に膝が痛むほど長い間、作業し続けなければなりません。

その点、ポメラならどこでも持ち運べます。なので、それを利用して痛くなったら持ち運んで立ち環境に移れる、ということだったんです。



後で知ったのですが、僕も大好きな素敵なおじさま、ソエジマックスさんも立ち環境で仕事をされてるようです。僕自身としてもその方が楽だったりします。確かに立ちっぱなしは疲れますけども、膝が痛むより全然いいです。腰も痛くなりにくいですからね。


……ん? 移動するだけならノートPCを使えばいい?
そんな人はそもそもこんなページを見ずとも、何を使っても仕事が出来る人です。

僕のような人間は、ノートPCで作業すると気がつけばYouTubeを開いて音楽配信の動画を見たり、何ならSteamで買ったゲームを少しだけとか言いながら数時間経過していることもザラです。それしか出来ないからこそ、ポメラが良いんですよ。

○ポメラ、物書きには良いですよ

そんな理由から、ポメラは僕にとっては非常に良い買い物だった、ということになります。ポメラ愛好家である芝村先生も御用達のようですし(ガンパレード・マーチ、好きです)、僕もこれからはポメラを使い続けるように思います。


アウトラインだったり用途に関しては、芝村先生へのインタビュー記事が非常に参考になるかと。的確で求めているユーザーの心に刺さります。使い続けたからこそ「そうそう、そうなんだよ! 」と共感できます。

ちなみにDM30が発売されましたが、乾電池駆動、サイズによる利便性を求める方はそれを。ATOKの快適さで言えば前モデルであるDM200をおすすめします。あとは店頭で触ってみるのが一番かと思われます。(僕も購入前はとにかく店頭で触り倒しました)